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医学生・研修生の方へ

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はじめに

 医師国家試験合格者の3割以上が女性であるにもかかわらず、日本整形外科学会の女性会員数は6.5%程度(2020年1月)と多くありません。しかし、整形外科が女性に向かない訳ではありません。手外科や小児整形、マイクロサージェリーなど、腕力よりも器用さ繊細さが求められる分野があったり、手術器械や技術の進歩によって腕力が必要な場面は少なくなっています。手術以外でも骨粗鬆症や関節リウマチなど女性が多い疾患の治療もあり、これからはますます女性医師の活躍が求められます。
 医師としてキャリア形成を行う20代、30代は結婚、出産、育児などのライフイベントとも重なりやすく、「長時間労働」に不安を感じる方もおられると思います。しかし現在は、タスクシフティングやタスクシェアリング、ICTの活用により徐々に労働環境の改善が進み、働き方の多様性が認められつつあります。
 日本整形外科学会は、女性が働きやすい環境を作ることで女性医師を増やし、全体の労働力を上げることに注力しています。それがひいては、男女ともに働きやすい環境の整備につながると期待されます。迷っている方も選択肢の一つとしてぜひご検討ください!

日整会広報室ニュースより(抜粋記事)

 日本整形外科学会の機関紙である広報室ニュースに掲載された、女性医師の様々な活躍記事をご紹介します。

周りがやらないことをやってみる大切さ
中島 祐子
広島大学大学院医系科学研究科 運動器超音波医学共同研究講座准教授
第121号 ASUNARO 明日への希望
女性医師からみたRA診療
中川 夏子
兵庫県立加古川医療センター リウマチ科・整形外科部長
第118号 整形リウマチ医のすすめ
PMDAに勤務して ~新たな気付きと今後の展望~
小林 倫子
医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部(千葉大学整形外科-2003年卒)
第114号 ASUNARO 明日への希望

女性医師 Q&A

 女性の医学生、研修医の方の疑問に委員がアドバイスします。

Q1 整形外科を選んだ理由を教えてください
 手術手技を用いた分野に惹かれていたため、早く多くの手術件数に対応できる術者になりたい一心でした。整形外科は内科系と違い卒業時のスタートラインが他大学医師と同じだと予想したこと、臓器が大きいため術野を助手と共有しながら手術ができること、そして外科よりも術後管理の見通しが立てやすく、並行して複数の症例に対応できると考えたからです。
 医学生時代に出会った高齢の患者さんたちの腰痛や膝痛をなんとかしてあげたいと思いました。地域での健診等に同行した際には、治療・リハビリを通じて患者さんが元気になっていく様子を間近で見ることができ、辛そうな患者さんも笑顔で社会に戻っていけるような医療をしたいという思いが、私の原点です。整形外科というと手術のイメージが強いと思いますが、痛みの診察や骨粗鬆症の管理等もとても大事な分野です。
Q2 整形外科の中で女性としてdisadvantageを感じることはありますか
 整形外科医として、女性であることが不利だと感じたことはありません。人工膝関節全置換術では工具を使用しますが力は要りませんし、手術中、執刀医師として神経を使うことがあっても、体力的には助手より楽だと感じます。
 骨折や脱臼の整復で腕力が必要な場面もありますが、コツをつかめば道具や助手の力を利用して上手に治療することが可能です。ハラスメントなどで嫌な思いをすることがあるかもしれませんが、どの科、どの職業でも起こり得ることで、特に整形外科だからということはないと思います。
Q3 整形外科医師として女性だからできることや、わかることはありますか
 患者様や家族と頻繁に会話をして寄り添い、悩みや変化に応えて信頼関係を築けるよう常に意識しています。整形外科の治療や手術は一時的であるにせよ、外見や機能の変化に不安を伴う場合があります。患者様とその背景に気持ちを馳せて支援することを心がけています。
Q4 結婚や出産の良いタイミングがありますか
 いろんな分野があるため、どのタイミングでもそれに合わせたキャリアの積み方ができるのも整形外科の魅力の一つと思います。
 出産・育児の時期はキャリアアップの時期に重なりやすいですが、手術の部分は他の先生にお任せして、手術以外の治療を自分が担当する、という働き方もあります。あるいは、出産・育児をしながら手術の経験をたくさん積みたいという場合も、手術を途中交代していただいたり、準備の部分は他の先生にお願いするというような働き方も可能です
Q5 産休育休はどれくらいの期間取得しましたか
 妊娠が判明した際に整形外科医局は、透視を浴びない業務への変更、産後1年間まで当直免除を考慮してくれました。仕事と育児を両立できたのは、医局の柔軟な対応と配慮のおかげです。 医師人生のわずかな期間です。これから経験される女性医師の方々には、産休育休制度を利用してほしいです。
 少しでも多くの経験を積みたかったので、育休は取得しませんでした。産後も時短勤務という形はとらず、フルタイムで働きました。もちろん子どものお迎えなどはあるのですが、夫婦で同じ医局に所属しているので、どちらかがお迎えにいけるように取り計らっていただくことができました。
 二人の子どもを育てながらも働き続けられているのは、周囲の協力があってこそです。別の部分で他の先生方のお役に立ちたくて、現在は講演会等を積極的に引き受けるようにしています。
 一人目出産後は生後4カ月の時、非常勤で仕事に復帰しました。当初は月水金の午前中勤務。生後半年の時に短時間勤務ではありますが、常勤となりました。待機や当直を免除していだだき、大変助かりました。当初はリハビリテーション科の仕事が主でしたが、現在は整形外科手術の執刀や外来診療も行っています。整形外科医が多い病院に勤務しているため、チーム制のような体制をとっており、同僚に助けられています。
Q6 仕事と家庭の両立を経験してみて、大変だったことはなんですか
 妊婦として長時間起立したままの手術はきつかったです。また子どもが幼かった時は朝の支度、学校行事との兼ね合い、帰宅時刻など制約が多く勤務との両立は大変でした。子育ての経験は今、効率的な時間の割り振りや優先順位の決定、多角的かつ迅速な判断などに活かされていると感じます。今後、同じ立場になられる女性医師の方々の手助けができると思います。
 いまだに試行錯誤ですが、特に困るのは子供の病気です。パートナーや実家に頼ることができる場合はいいのですが、仕事を調整して早退させていただくこともありました。勤務先に病児保育があれば助かるなといつも思っていました。だた、子供が病気の時は側にいてあげたいという思いもあるので、これからは早退や半休などが取得可能なシステムづくりも大切と思います。
Q7 整形外科への選択に悩まれている女性医師にアドバイスはありますか
 整形外科は女性医師にお勧めです。扱う分野が広く(脊椎、上肢、下肢、腫瘍、小児)、手技も多岐にわたり、内科的治療(骨粗鬆症や関節リウマチ治療など)にも関われるなど、多くの選択肢の中から自分に向いている専門分野を選べます。一般的に整形外科は男性医師数が多いため、さっぱりした雰囲気で働きやすい環境です。